ビジネスのテーマパーク ソフトバンクのDX支援場
リスキリング戦略本物の人がいるような圧巻の3D画像技術
別の部屋には、大きなガラスの中に本物の女性がいるように見える3D画像コーナーがあった。その裏側には簡易なスタジオがあり、カメラの前に立つと、3D画像に筆者が映し出された。「従来の3D技術では大がかりなスタジオ施設が必要だが、最新の技術により簡易なセットで、リアルタイムの3D画像が海外など遠隔地の会場でも映し出され、その場でプレゼンしているように見える。例えば、これはCEOが世界中の社員向けにメッセージを発信する際や、テレビ局などで使えるねとか、顧客企業と色々話し合うわけです」という。
AI技術を活用したスマートシティや5G技術などに関連した研究開発中のサービスも展示されている。EBC内には複数のロボットが走り回り、壁や天井など全面にデジタル画像が展開されるなど、まさにDXを後押しする体験空間だ。
アナログ営業からコンサル型に

アナログ営業からコンサル型営業に変えた藤長常務
しかし、同社法人事業統括の藤長国浩常務執行役員は「もともとソフトバンクには通信関連の技術者は多かったが、DXに向けて動き出したのは2015年以降、日本IBMとAI分野で提携をしてからだ」と話す。
孫正義氏が1981年に創業したソフトバンクグループ。一般には最先端のデジタル企業のイメージだが、90年代まではパソコンソフトの卸会社。2000年代に入り、通信事業に参入したが、主力はブロードバンドと携帯電話サービスの提供してきた。
ソフトバンクで法人営業のプロだった藤長常務も「1日5~6社顧客企業を回って商談し、夜は会食という典型的なアナログ営業マンだった」と振り返る。しかし、10年代半ば頃から、通信単体の「モノ売り」から「コト売り」へ、すなわちソリューション販売の必要性が高まった。AIやクラウドが台頭する中、営業のデジタル化が不可欠となったのだ。
そこで藤長常務は「ソリューション販売にシフトするため、各部門のエースを選抜し、コンサルタント型営業人材の養成を始めた」。最初は大手コンサルの社員が指導役となり、事前準備を含めて計25時間の研修を実施、本格的なリスキリングに踏み切った。現在までに約140人がコンサル型営業リーダーに転身した。