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失われた30年を脱する思考法

会社の仕組みから始まって財務3表の理解へと進み、企業価値とは何かを語ったあとで、ファイナンスという活動を4つに分けて解説する。ファイナンスとは「企業価値を最大化するためにおこなう活動」であり、有機的につながる一連の4つの活動、すなわち外部からの資金調達、資金の創出、資産の最適配分、ステークホルダーコミュニケーションに分けられるという。ビジネスパーソンの仕事は営業であれ人事・総務であれ、特に事業を通じての「資金の創出」にかかわっているというのが本書の重要な指摘だ。

企業価値の最大化という本来の目的を忘れて、短期的な売り上げや利益の最大化に傾いてしまうのが「PL脳」の難点で、キャッシュの軽視、資本コストの軽視、成長投資の軽視という思考を招き、多くの日本企業は給料も上がらず成長もしないという失われた30年を過ごすことになったというのが著者の見立てだ。「PL脳」を抜け出し、個々のビジネスパーソンがファイナンス、すなわち企業価値の最大化を意識して自らの業務を回すことが未来への展望を開くことにつながる。そう若いビジネスパーソンを鼓舞する。

「火曜日に入荷してすぐに大きく売れたので、まとめ買いが入ったのかと思ったら普通に店頭で売れたものだった。読者がものすごく反応している」と同書店でビジネス書を担当する岡崎史子さんは驚く。帯には「会社が成長する仕組みを知れば、現場の打ち手がわかる」とあり、成長と目の前の仕事をつなげたところと、わかりやすそうな雰囲気が若い読者に刺さったのかもしれない。

『伝説の「論理思考」講座』が5位に

それでは先週のランキングを見ていこう。

(1)億を稼ぐ人の話し方中野祐治著(きずな出版)
(2)ジェイソン流お金の増やし方厚切りジェイソン著(ぴあ)
(3)ゼロからわかるファイナンス思考朝倉祐介著(講談社)
(4)佐久間宣行のずるい仕事術佐久間宣行著(ダイヤモンド社)
(5)伝説の「論理思考」講座白木湊著(東洋経済新報社)

(三省堂書店有楽町店、2022年4月18~24日)

1位は起業家・実業家で人気セミナー講師でもある著者が信頼とお金が集まる話し方について語った本。『億を稼ぐ人の考え方』『億を稼ぐ人の習慣』に続く第3弾だ。2位は、IT企業の役員でもありタレントでもある厚切りジェイソン氏によるマネー本。今回紹介したファイナンス思考の本が3位に入った。4位はヒット番組を連発してきたテレビプロデューサーによる仕事術の本で、前週の青山ブックセンター本店に続いてここでもベスト5入りした。5位は、4月半ばに本欄の記事「コンサル就活にも役立つ 論理思考でミスをなくす方法」で紹介した論理思考の独習法を解説した本だった。

(水柿武志)

ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略

著者 : 朝倉 祐介
出版 : 講談社
価格 : 1,650 円(税込み)

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