2割以上の増額も、相次ぐ初任給アップの裏にあるもの
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新卒採用の給与を引き上げる動きが顕著になっています(写真はイメージ)=PIXTA
新卒採用の給与を引き上げる動きが顕著になっています。労務行政研究所が2022年5月11日に発表した「2022年度 新入社員の初任給調査」の速報集計結果によれば、東証プライム上場企業165社のうち、2022年4月の新卒入社者(全学歴)の初任給を引き上げた企業は41.8%に上りました。
これは過去10年間で最高の水準です。新卒採用では多くの企業が「やりがいがある」「自己成長できる」といったアピールをして応募者を集めてきましたが、とうとう給与アップにかじを切ったということでしょう。新卒社員の獲得競争がますます激しくなっているといえます。
これから企業は、現在50代の社員の大量退職を迎えます。一方、少子化によって新社会人は減少します。これまでの人手不足をはるかに超える、究極の人材難に直面する企業も出てきそうです。
それを暗示しているように思えたのが、前出の調査結果です。一部の学歴ではなく、大学院卒から高校卒まで全ての学歴で引き上げた企業が4割を超えるというのは、人材採用に対する強い危機感を表していると考えられます。
この調査について報じた日本経済新聞の記事「初任給、4割が引き上げ 東証プライム大手165社」(2022年5月25日)によれば、日本郵船は2022年4月入社の初任給を前年度比で18.7%引き上げたそうです。それだけ人材難が深刻であるとみているのかもしれません。