逃げてきた哲学者 なぜ全米トップ進学校の校長に
ニューススクール哲学を学ぶ、新たな価値創出を

「逃げてきた人生」と笑う星校長
特に注力しているのは哲学の授業だ。「今は物事がどんどん変わる時代。キャリアの価値観を変わるが、哲学を学んでいれば、本質を見つめ、問い直して新しい価値観を自分でつくることも可能になる。創造的なプラットフォームを自らつくり出すのにも役立つ」と星校長は強調する。
実際、スタンフォード大周辺のシリコンバレーの企業は哲学者を活用しているという。「自分の哲学の博士号取得者の仲間は、哲学以外の法学や戦略コンサルタント、そして起業家など経済人として活躍している」と語る。
もちろんオンライン教育にも課題はある。「仲間との友情を育むため、定期的に対面で会う機会を設けている」。先日は米東海岸のボストンに900人中の200~300人が集まり、ダンスパーティーなどを開いて盛り上がった。
オンライン教育は世界で急拡大へ
世界的にオンライン教育の需要は高いという。「日本は少子化だが、全世界の大学生数は現在の約2億5千万人から40年には6億人に増えると言われる。世界の爆発的な教育需要に応えるために教育テクノロジーが必要だ」。すでに米国ではミネルバ大学などが台頭している。
さらに星校長は、「ユネスコは教育の権利が若者から全世代に広がらねばとしている。その際のツールとしてもオンライン教育は不可欠だろう」と語る。米国では社会人になってからビジネススクールに通うなどリスキリングは当たり前。オンラインを介して全世界から米国の最先端教育を受ける人も増えている。
スタンフォード大オンラインハイスクールのサマースクールには日本人の参加も増えている。「逃げてきた」哲学者は、世界中の子供たちから求められる次世代の教育者に変貌したようだ。
(代慶達也)