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要点3 老化メカニズムはがん抑止のため

現代人は老化の過程で死ぬ。直接の死因は病気でも、それは細胞の異常、機能低下のせいであり、大本の原因は老化だ。そのメカニズムは未解明の部分も多いが、目的のひとつはがんを防ぐことにある。多細胞生物は絶えず細胞分裂を行って組織を更新するが、そのたびに遺伝子のコピーミス(変異)が蓄積し、がん化のリスクが上がる。そこで異常になりそうな細胞を老化に誘導して排除し、新しい細胞と入れ替えることでがんを防ぐ。もっともヒトの寿命は、この仕組みでがんを防げる年齢(55歳ほど)を超えて長期化している。

要点4 「不老長寿」の科学も進化している

年長者が子どもの成長を支えることの重要性からすると、「アンチエイジング」を望むのは生物学的に自然だ。近年分かってきた寿命を延ばす方法のひとつは、栄養摂取量を適度に減らすこと。代謝が低下するため、細胞の劣化を招く活性酸素を減らせる。長寿に関わる遺伝子も発見されており、マウスを使った実験では体力や腎機能の向上、育毛などの若返り効果発現に成功している。もっとも、それがヒトにも有効かは不明だ。

30年生きるハダカデバネズミのような、ストレスフリーの生き方も長寿の鍵。子育てのサポート体制や働き方を見直して、社会全体のストレス軽減を目指したい。

(手代木建)

[日経ウーマン 2021年11月号の記事を再構成]

生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書)

著者 : 小林 武彦
出版 : 講談社
価格 : 990 円(税込み)

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