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第1条は「事業の目的、意義を明確にする」

第1条を引いてみる。「事業の目的、意義を明確にする」。その副題には「公明正大で大義名分のある高い目的を立てる」とある。本文では次のように解説する。〈従業員に懸命に働いてもらおうとするなら、そこには「大義名分」がなければなりません。「自分はこの崇高な目的のために働くのだ」という大義名分がなければ、人間というものは心から一生懸命にはなれないのです〉

こんな調子の平明な言葉で経営の原理原則を1条1条説いていく。本文に続いて3~5項目の要点を「全社員が使命感を抱き、やりがいを持って仕事に邁進しているか」といった問いの形で1ページにまとめて示し、さらにQ&A形式の補講を併せて各条20ページ程度でまとめている。

創業期の京セラから巨大企業、日本航空の再建までが自らの経験として語られるから、どのような規模の組織に属していても参考になりそうな言葉がある。経営を語りながら、それは人生に向き合う態度にも通じる。中小企業経営者はもちろん経営マインドを持って仕事をしている企業内のチームリーダーにとっても示唆に富む内容といえそうだ。

「このあたりのお客様にはファンが多い感じで、死去のニュースも重なって好調な売れゆきにつながっている」と同店でビジネス書を担当する沢柳由香さんは話す。

『限りある時間の使い方』が4位

それでは先週のランキングを見ていこう。

(1)ゼロからわかる新卒エンジニア採用マニュアル楓博光著(あさ出版)
(2)コミュニケーション大全鴨頭嘉人著(鴨ブックス)
(3)「会社四季報」業界地図 2023年版東洋経済新報社編(東洋経済新報社)
(4)限りある時間の使い方オリバー・バークマン著(かんき出版)
(5)経営12カ条稲盛和夫著(日本経済新聞出版)

(三省堂書店有楽町店、2022年9月19~25日)

1位は新卒エンジニア採用のノウハウをまとめた本。著者は新卒エンジニアの就活を支援する会社の社長だ。2位には、人気のユーチューブ講演家がコミュニケーションの極意を説いた本が入った。3位は定番の業界研究ムックの最新版。4位は生産性や効率を追求する考え方から抜け出し、一度きりの人生を楽しむ方法を説く一冊だ。今回紹介した稲盛氏の本は5位だった。2~5位の4冊は順位こそ違うが、前回の八重洲ブックセンター本店のベスト5と同じ顔ぶれで、売れ筋の変化が乏しい様子が見てとれる。

(水柿武志)

経営12カ条 経営者として貫くべきこと

著者 : 稲盛 和夫
出版 : 日経BP 日本経済新聞出版
価格 : 1,870 円(税込み)

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