幸せな転職果たした50代後半に学ぶ法則「年齢×0.6」
技術者の働き方ホントの話セレクション例えば新人研修をする場合。新卒入社の社員に常識や経験が不足していても、怒らずに「年齢に0.8を掛け合わせる」のです。22歳の新人なら0.8を掛けると17.6歳。「まだ18歳にもなっていないのか」と思えば、常識が欠けていても腹は立ちませんし、こちらも丁寧に説明しようという気持ちになります。
これは決して若者をやゆしているわけではありません。お互いの考えを丁寧に理解し合うためには、経験に基づく両者の常識の違いを埋めなくてはなりません。相手の年齢に0.8を掛けることで自分との経験の違いをより強く意識し、怒らず穏やかに対応できるようになります。そのための心構えなのです。
これをスガさんに置き換えてみましょう。スガさんは、50代後半にして海外出張の夢を果たしました。さらに座席のアップグレードでファーストクラスに搭乗でき、スガさんはご機嫌でした。海外出張に慣れている人にとってはどうということもない経験でしょうが、スガさんには大いにときめく旅だったのです。
スガさんの実年齢で考えれば「定年間際でようやくそんな経験をしたのか」と思うかもしれません。しかし少子高齢化が進む中での定年延長を考えれば、スガさんにはまだまだ先があります。0.8どころか、0.6を掛けてちょうどいいくらいかもしれません。
例えば60歳に0.6を掛ければ、36歳。この年齢ならば海外出張を新鮮な気持ちで楽しみ、モチベーションを高めていても何の不思議もないでしょう。
定年延長でこれからの働き方に悩む人が多い中でも、自分の気持ちを大切にして前に進んでいく50代のスガさんの姿に、筆者はとても勇気づけられました。ご自身の年齢を考えて二の足を踏むようなことがあったら、ぜひ「年齢×0.6」を意識してみてください。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。