AI活用は必須のビジネス技に 「勘と経験」を置き換え
あしたのマイキャリア住友商事のDXセンターの仕事
――AI導入における成功のカギは何ですか。
高橋氏 AIにできることを把握し、どのような課題の解決にはAIが有効なのか、「課題設定力」をリーダーが持つことが重要だと思います。AIは課題解決の手段ですから、必ずしも解決策がAIになるとは限りません。
業務の中で、これまでは絶対に解決できないと思われていた課題が、AIという新たな手段を使うことによって、もしかしたら解決できるかもしれません。AIはあくまでも手段と理解した上で、ビジネスの現場に取り入れていくことが非常に大事だと思います。
――住友商事では、実際の業務の課題解決にどのようにAIを取り込んでいるのですか。
小久保氏 DXを専門で推進するための組織ができたのは約3年半前のことです。住友商事は6つの事業部門で950社以上のグループ会社が世界中に展開していますが、デジタル化経営をやったことがない人が圧倒的に多いので、支援組織があったほうがいいということでDXセンターができました。
DXセンターの機能は、ビジネス課題の整理・設定や先端的なビジネスモデルや技術の取り込み、データマーケティング、テクノロジーエンジニアリングなど様々にありますが、ポイントはデジタル技術を使うことをゴールにするのではなく、「経営課題・ビジネス課題は何か」を明確にし、それを解決する手法の1つとしてデジタル技術を使うところです。
AIについては、具体的に置き換えられる可能性があるのは、「勘と経験でやっているところ」だと思っています。それを踏まえつつ、「ROI(投下資本利益率)をクリアできるのか」「実用に足るのか」などの様々な点をクリアしていくことです。失敗事例も多く出てくるので、どうすればうまくいくのかという「引き出し」を日々増やす努力をしていくことだと思っています。