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沖縄のNP、命を救うアドバイス

「かなり貧血があり、胃の調子も悪そう」。22年1月、沖縄県宜野湾市で「しゆり助産院・しゆり鍼灸マサージサロン」で院長を務める諸喜田睦子さんは来院した30代の女性に「早めに病院を受診したら」と勧めた。腰痛を訴えて来院した女性だった。実は諸喜田さんはNPの資格も持っている。その女性は白血病なども疑われたが悪性リンパ腫だった。「言われなければ病院に行ってなかった。あなたは命の恩人だ」と感謝された。

沖縄で助産師、そして診療看護師としても働く諸喜田さん(左)

沖縄で助産師、そして診療看護師としても働く諸喜田さん(左)

学生の頃、いずれはへき地医療に携わりたいと思っていた諸喜田さん。留学経験のある教員より米国ではNPがへき地医療を担っていると聞き興味をもったが、その時代の日本ではほど遠い資格だった。

鍼灸を学ぶため上京した時に日本でもNP教育が始まったと聞き、2015年に東京医療保健大学大学院の門を叩いた。首都圏で同大学院がNP分野で先行していたからだ。「そこで培った知識や4年間のNPとしての臨床経験、そして東洋医学的な知見により、たまたま腰痛で鍼灸治療にきた女性にアドバイスできたのでは」と笑う。今後は機会があれば、へき地医療に携わりたいという。

東京では医師と看護師のつなぎ役も

諸喜田さんの学んだ東京医療保健大学の目黒のキャンパス隣にある国立病院機構・東京医療センター。この中核病院では10人以上の診療看護師が活躍している。その1人が総合内科の中村英樹さんだ。三重県や沖縄県で看護師として働いた後、同大学院でNPの専門教育を受けた。

看護師の相談役にもなっている診療看護師の中村さん

看護師の相談役にもなっている診療看護師の中村さん

「ドクター的な視点を学んだ。教育の7割はまさに医学。医療に関わる判断力が高まった」と語る。医療の世界では常に意思決定するのは医師、診療を補助するのが看護師の役割だ。しかし、高度医療を担う中核病院では医師と看護師の相互理解の点で空白が生じるケースもある。中村さんは「医師の考えを理解し、看護師たちとつなぐ、相談役のような役目も担う」という。

NPは一部診療行為が認められるため、医師から判断を求められるケースもある。診療行為に対しては患者や家族に説明する場合もある。「自分の判断が正しかったと医師から評価されたり、患者さんから頼られたりすると、やりがいを感じる」という。

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