変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

キリンアカデミアでは、「若手やベテラン、本社、地方を問わず交流し、みんなで学びを共有し、挑戦できる風土を作っていく」というビジョンを策定した。もちろん経営側も賛同したが、「グループの社員が自由に参加して、学べる場としたい」と予算措置や正式な組織化は求めなかった。

オンラインで参加者急増 トヨタやJTとも交流

ベネッセなど社外の人間を招いて、セミナーを積極的に開くが、基本は手弁当だ。ビジネスチャットツールの「スラック」などを活用して対話を深め、コミュニティーづくりに励んだ。新入社員を対象に「お悩み相談」などメンタリングや、新規事業創出のミニビジネスコンテストを開くようになった。20年にコロナ禍となったが、オンライン開催になり、参加者が400~500人規模にまで増えた。

グループ内外の社員がどんどん参加して盛り上がるキリンアカデミア

グループ内外の社員がどんどん参加して盛り上がるキリンアカデミア

社外の企業ともコラボを始めた。キリンとトヨタ自動車やJTの3社の80~90人余りの有志が「未来ゼミナール」をつくり、新規事業などのアイデアを競った。3社の有志の中で同じ課題を持つ3人ほどのメンバーがチームになり、役員らの前でプレゼンするという趣旨だ。例えば、トヨタとキリンが組んだチームからは飲酒運転防止につながるサービスが提案されたりするわけだ。

アカデミアから医療関連の新規事業も

20年にはキリンアカデミアは社内で高く評価され、「キリングループアワード」などを受賞した。医療関連の新規事業を模索していた田中さんは、自身が考えたビジネスアイデア「premedi」を社内コンテストで提案し、優勝。ヘルスサイエンス事業本部の新規事業グループに異動、「premedi」事業責任者となった。他の3人のメンバーのうち1人も、社内公募を勝ち抜き米国のコロンビア大学院に留学するなど処遇されている。

キリンアカデミアは、若手社員だけではなく、中高年のシニア社員の学びの場ともなっている。

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