起業家でモデル ジェンダーフリー学んだ四天王寺高
GENDA社長 申真衣氏(上)
リーダーの母校いま振り返って、女子校で良かったと思うのは、「男子だから」「女子だから」というジェンダーバイアスから無縁でいられたことです。そもそも女子しかいないので、それぞれの立場でリーダーシップを発揮するのは当たり前でしたし、男子の視線を気にすることなく、自分らしさを伸ばすといったことがごく自然にできる環境でした。私自身は思春期に入ってから、リーダーとして先頭に立つよりも、教室の1番後ろでちょっと斜に構えているタイプに変わったのですが、それでもバイアスにとらわれず、誰もがリーダーシップをとれる環境で中高時代を過ごせたことはとても良かったと思います。もちろん、その分、バイアスが根強い社会に出るとギャップを感じることも多かったわけですが。
いま、子育てをする上でもジェンダーのことは気になります。私も夫も「男の子だから」「女の子だから」とは絶対言わないようにしていますが、外の世界から子供が知らず知らずにバイアスを仕入れてくることってあるんです。「ピンクは女の子の色だよ」とか。そういうバイアスをどうやってはがしていくのか、バイアスをインプットされる前に子ども自身がフラットに考えられる土壌をどう作るのか、悩むことも多いです。
進路に関しては、理系科目が得意だったにも関わらず、あえて文系を選択し、東大を目指した。
きっかけは、私が高校に上がるタイミングで3歳上の姉が医学部に進学したことでした。小学校の頃からなんとなく私自身も将来は医学部に行くのかなぁと思っていたのですが、親や先生から「当然医学部に行くよね」と期待され、本当にその通りになった姉を見て、私は敷かれたレールの上を歩くのは嫌だなと思ったのです。それで高1で文理選択する際に、親にも内緒で文系を希望しました。でも、ちょうど姉の学年を持っていた先生が担任になり、あれ?と思われたようで、わざわざ家に電話が入ったんです。「ちゃんと親子で話し合いをされていますか」と。
驚いた親からは「文系に進んで将来何をしたいのか」と聞かれました。でも、世の中にどんな仕事があるかまだよくわかっていなかったので、返答に困って「東大に行きたい」と。そう言えば納得してもらえるんじゃないかと思ったんです。そこからですね、東大を意識し始めたのは。周囲は医学部か京大を目指す子が多く、同級生で現役で東大に行ったのは、私を含めて2人だけでした。
文2を選んだのも、やっぱり私のあまのじゃくな性格からです。「理系のトップは医者、文系のトップは弁護士」みたいな考え方に反発する気持ちもあって、だったら私は文2から経済学部に行こうと思ったのです。
後半では私も経験した東大女子の孤独や、のめり込んだ金融工学のこと、さらにゴールドマン・サックスでの経験や、起業とモデル業についてお話します。
(ライター 石臥薫子)