合理的に生きると成功する 人生の土台を設計する方法
三省堂書店有楽町店
ビジネス書・今週の平台3つの資本に分けて考える
合理的な選択をこのように押さえた上で、「金融資本」「人的資本」「社会資本」という3つの資本に分けてそれぞれの成功法則を提示するのが後半だ。この3つが幸福の土台となる資本で、金融資本はお金に働いてもらって資産形成すること、人的資本は働くこと、社会資本は友だちや仲間、パートナーをつくることと言い換えてもいい。
金融資本では「ビットコインに投資すべきか」「マイホームと保険をどう考えるか」など極めて具体的なお金の戦略が考察される。金融資本では「合理的な選択」ができれば、それがそのまま成功法則につながる。
働くことをめぐっての人的資本の成功法則では「いったん人生の優先順位を決めたら、さして重要でない選択は放棄するか、自動化してしまう」「戦う場所は絞る。しかし、オプション(戦う武器)は捨てない」といった戦略が語られる。
どの考察にも行動経済学や心理学から時には社会派ルポが伝えるエピソードまで援用され、考察を進める過程そのものを読みながら楽しむことができる。目の前の仕事や人間関係にとらわれがちなビジネスパーソンなら、本書を読んで幅広い視点から人生を見つめ直してみるとよさそうだ。
「このところ息の長い売れ筋が強いランキングになっていて、店頭でよく動いた、生きのいい新刊はこの本ぐらい」と同書店でビジネス書を担当する沢柳由香さんは話す。
『キーエンス解剖』『安倍晋三回顧録』が4、5位
それでは先週のランキングを見ていこう。
1位の『インスタで夢を叶えた50人のやり方を1冊にまとめました。』は医師で、TOKYOインフルエンサーアカデミーを主宰する著者の本。2位の『もしも、人生を今日からやり直すとしたら』はユーチューバーでもある人気美容外科医の生き方本だ。3位の『みんなのフィードバック大全』は経理精算クラウドサービス会社の社長がどの業界でも通用するフィードバックスキルを紹介した本だ。4位と5位には息の長い売れ筋になってきた『キーエンス解剖』『安倍晋三回顧録』が並んだ。今回紹介した『シンプルで合理的な人生設計』は8位だった。
(水柿武志)