社員たきつけるドコモの「大学」 平日午後の学び時間
「企業内大学」のつくりかた vol.1 NTTドコモ(前編)
リスキリング戦略誰でも応募可、ダーツで抽選
――誰でも参加できるのでしょうか。
山本:グループ社員であれば、年齢や役職に関係なく応募できます。現場のオペレーターの人も経営企画部の人も、新入社員も30年選手も、機会はみな平等です。定員は1期が60名、2期が120名。2期は事情により募集期間が1週間しかなかったので、実際に集まったのは110名でしたが、これから始まる3期は社員300名のほかに、他の会社で新規事業を立ち上げようとしているイントレプレナー(社内起業家)100名も受け入れます。
応募者が定員を上回る場合は選考を行いますが、基本は抽選です。そもそも応募時点で、新規事業のアイデアの提出などは求めていないので、選びようがない。ですから1期目はダーツで決めました。募集要項には「強運を持っていること」という条件を入れています(笑)。
沼田:アカデミー自体がコロナ禍のもとで始まったので、すべての活動をオンラインで行う設計なのですが、それが結果的に良かった。参加者は北海道から沖縄まで日本全国、さらに海外の支社からも集まっています。面白いのは、対面だとなんとなく雰囲気で「この人偉そうだな」とかわかりますけど、オンラインだとそれがほとんどわからないこと。所属や肩書を言うような場面も特にないので、誰もがフラットに意見を言い合えます。
「魂の卒業プレゼン」で感極まる社員も
――期間やプログラムの詳細を教えてください。
山本:アカデミーは10月から2月までの5カ月間。生徒は一人ひとり、自分のやりたいテーマを考えて1月に中間発表、2月末に「魂の卒業プレゼン」をして卒業する流れになります。「魂の」というのは大げさじゃなくて、みんな本当に5カ月間悪戦苦闘しながら自分の熱い思いを形にしていくので、最後は感極まって泣きながらプレゼンする人も少なくないんです。

第2期(21年度)のカリキュラム
活動のベースとなるのは週1回の講義と、クラスルームでの活動です。講義で扱うのは「マインド」と「スキル」。僕や沼田さんの個人的なネットワークの中からえりすぐった講師陣やメンターにレクチャーしてもらいます。例えば今年度のプログラムでは、「パッション」をテーマにサッカー元日本代表の鈴木啓太さんに話してもらうとか、「リーダーシップ」について、Zアカデミア学長・武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長の伊藤羊一さんの講義などを予定しています。