社員たきつけるドコモの「大学」 平日午後の学び時間
「企業内大学」のつくりかた vol.1 NTTドコモ(前編)
リスキリング戦略「スキル」に関しては、基本的に事業開発のプロセスを学んでいく設計になっています。顧客はどこにいるのか、課題をどう見つけるのか、ステップごとの考え方やヒントを、エキスパートたちに提供してもらう。卒業プレゼンの直前には、パワポ芸人のトヨマネさんにも効果的なプレゼン法についてレクチャーしてもらいます。
社内でコンセンサスを得るには
沼田:マインドとスキル両方の講座を設けているのは、マインドだけだと、聞いたその日だけ「よーし」と盛り上がっておしまい。スキルだけだと勉強するだけして資格とか取って終わりとなりがちなので、両方を組み合わせることが大事だと考えました。
講義は生配信でインタラクティブなので、質疑応答の時間は手を挙げていない人を見つけるのが難しいくらい。とても盛り上がります。
――その講義が設定されているのは、平日の午後3時半から6時まで。つまり業務時間内です。社内でコンセンサスを取るのは難しくなかったですか。
山本:アカデミーでの活動を通して、必ず業務に生かせる力がつくので、会社として投資すべきだという考えを説明し、通してもらいました。もともと、米グーグルの20%ルールと同じく「勤務時間の20%は新規事業や他の部署でのダブルワークに充てていい」というカルチャーがあるので、そこはそんなに難しくなかったですね。もはや、本業だけやっていれば成果がでる時代じゃないというのはコンセンサスになっていると感じます。
沼田:ただ、参加希望者から一番聞かれるのは「自分が業務時間に抜けることでチームのみんなに迷惑かけないでしょうか」という質問なんです。それに対しては、いろんな方面からサポートするので大丈夫だと。「迷惑かけるんじゃないか」って、みんな責任感が強いんですよね。その意味では真面目なんですが、自分の人生に対しては真剣じゃない、という点が僕は気になるんです。
後編では、「社員が自分の人生に真剣に向き合っていないのでは」と憂慮する沼田さんの思いやクラス形式にしている理由などを聞く。
(聞き手 ライター・石臥薫子)