ドコモ社員に勇気を授ける 会社員人生後にも挑戦心
「企業内大学」のつくりかた vol.1 NTTドコモ(後編)
リスキリング戦略山本:はい。アカデミー生にはNewsPicks Learning という動画学習サービスのアカウントを付与しているので、コンテンツが見放題です。新規事業開発やマーケティングなどのコンテンツは復習的に見ている人も多いようです。
いつでも誰でも見放題は誰も見ない
一般の社員は見放題じゃないです。企業でよくあるのは、「全員、学習コンテンツ見放題。いつでもどこでも勉強できます」というやり方だと思いますが、普通、なかなか見ないですよね。業務時間いっぱい仕事をして疲れているのに、何百もあるコンテンツから、自分で選んで視聴するなんて、よほど目的意識が明確じゃないと無理でしょう。コンテンツを見てもらうためには「動機」が必要です。ドコモアカデミー生の場合は、自分のプロジェクトのために、もっと吸収したい、いまつまずいている課題を解決したいという明確な「動機」がある。だから見るし内容も頭に入ってくる。それが、アカウントを彼らだけに限定している理由です。
――2期までで170名が卒業しましたが、これまでの効果や成果は?
山本:2期生対象の調査では、満足度は10点満点で8.76。99%の人が自身の変化を感じています。新規事業のモチベーションが向上したのは81.5%。社内には「39works」「ZERO ONE DRIVE(ゼロワンドライブ)」という新規事業創出プログラムがあり、現在は3分の1以上のメンバーがチャレンジしています。特に「ゼロワンドライブ」で21年度最終選考に残った5つのうち、3つが卒業生のものでした。いま、まさにアカデミーで学んだマインドとスキルで、事業化に向けて奔走しているところだと思います。
沼田:この10月から始まる3期では、社外のイントレプレナー(社内起業家)も参加できる仕組みにしました。内輪の取り組みだけになるのを防ぎ、よりダイバーシティを担保できると考えたからです。生徒だけでなく、僕たち運営側もうんと背伸びをして、今、頭の中に描いている範囲に収まらずに、「ドコモを世界一勇気のある会社にする」「イノベーションが生まれる会社にする」とか、デカいコトを目指していきたいと思っています。
(聞き手 ライター・石臥薫子)