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東大の執行部改革、ダイバーシティは不可欠

21年4月に東大総長に就任した藤井輝夫氏は、ダイバーシティ推進を掲げ、執行部9人のうち5人を女性理事とする画期的な人事を断行した。男女共同参画室の体制を強化、藤井総長自らが各種イベントにも積極的に顔を出している。

22年6月にはダイバーシティ&インクルージョン宣言を行い、11月には27年度までに新たに着任する教授・准教授1200人のうち、女性を300人とする方針を示した。女性の教員比率を25%に引き上げる考えだ。

東大副学長で、男女共同参画室長の吉江教授

東大副学長で、男女共同参画室長の吉江教授

東大副学長の吉江尚子・男女共同参画室長は、「ダイバーシティは大事。ユニークさとユニークさがぶつかり合い、新しいモノが生まれる。多様な人材がいなければ、画期的な研究は進まない。LGBTQもにらみ、まずは女性が安心して活躍できる研究・教育の場をつくりたい」と語る。

女性は理系が苦手はバイアス

吉江室長は、筑波大学付属高校(東京・文京)時代から高分子材料学に興味を持ち、現在は生産技術研究所の教授も務める工学系の研究者でもある。「日本は小中高時代に女子は理系が苦手とすり込まれるきらいがある。しかし、何の科学的根拠もない、一種のバイアス(偏見)だ」と強調する。

東大の男女共同参画室では、女子中高生だけではなく、高校の教員や保護者の意識改革も必要としてきた。各学部と連携してオンラインで各種イベントを開催、「東大女子のリアルライフ」について漫画や動画を活用して具体的でわかりやすいコンテンツを作成して随時発信。女子寮の環境や学食のメニューや価格など細やかな情報も提供している。

一方で、教職員の育児・介護支援の拡充も進めている。吉江室長は「東大は学内保育園も多く、トータルの女性支援制度では全国でもトップクラスだ」という。

「難関大学の理系女子を積極採用したいが、そもそも母数が少ない」と嘆く企業の経営者は少なくない。『Girls Be Ambitious!』。東大はリケジョが次々飛び出し、多様性あふれる大学になれるのか。人材のダイバーシティにまい進する日本の産業界にとっても重大な関心事となりそうだ。

(代慶達也)

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