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48の型として示す方法論

本丸の解像度を上げるための方法論は4~6章で解説される。そして7章では1度上げた解像度が実際に正しいのかを検証する方法を論じ、8章では理想の未来に向けての解像度の上げ方を論じる。

方法論そのものは48の型として示される。課題の深さについての型を見ていくと、「言語化して現状を把握する」「サーベイする」「インタビューする」「現場に没入する」「個に迫る」「Why so?を繰り返して、事実から洞察を導く」「習慣的に言語化する」「言葉や概念、知識を増やす」「コミュニティで深掘りを加速する」の9つからなっている。そのそれぞれに「声に出して喋る」「最低100の事例を集める」などの細かい行動様式の示唆が詰まっている。

わかりやすさと深さが同居した一冊だ。とにかく行動することで解像度を高めようという姿勢が貫かれているため、背中を押してくれると同時に自身の行動をチェックする指針としても使いやすい。「入荷したばかりだが、入荷分の半分以上がその週に売れた」と店長の桐生稔也さんは驚く。新規事業の創出や大きな課題解決につながるビジネス変革が求められているビジネスパーソンが少なくないようだ。

『数値化の鬼』が息長い売れ筋に

それでは先週のランキングを見ていこう。

(1)クレディセゾン会長・林野宏の「何事も生き筋!」村田博文著(財界研究所)
(2)「会社法」法令集〈第十四版〉中央経済社編(中央経済社)
(3)解像度を上げる馬田隆明著(英治出版)
(4)数値化の鬼安藤広大著(ダイヤモンド社)
(5)年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法野沢琢磨著(ぱる出版)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2022年11月21~27日)

1位は『クレディセゾン会長・林野宏の「何事も生き筋!」』。林野氏が自らの経営について語った本だ。2位には法務関係の実務書の最新版『「会社法」法令集〈第十四版〉』が入った。今回紹介した思考法の本は3位だった。4位に入ったのは本欄3月の記事「いったん数字にして考える 仕事ができる人の思考法」で取り上げた『数値化の鬼』。息の長い売れ筋になっている。いくつもの企業を立ち上げてきた40代の経営者が自身の起業ノウハウとマインドセットを語った『年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法』が5位だった。

(水柿武志)

解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法

著者 : 馬田隆明
出版 : 英治出版
価格 : 2,420 円(税込み)

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