男性育休、管理職の葛藤「希望通りに」と言いたいが…
ダイバーシティ改正育児・介護休業法が施行され「産後パパ育休」が始まった。育休取得を促す側に立つ管理職らはどのような思いを抱いているのだろうか。日経ウーマノミクス・プロジェクトが管理職185人から回答を得たアンケートでは、育休を推奨したいが、業務への支障や人手不足に不安を感じる、といった葛藤が浮き彫りになった。座談会で本音を聞いた。
Aさん 「2カ月くらいかな。年単位の仕事が多く、3カ月以上休まれると戦力としてとらえづらい。『希望通りに休めよ』と言いたいが、言えないのが現状」
Bさん 「ルーティンでない業務の場合、1人欠けても負担になるよね。育休は社内規定が許す限り取っていいと思うけど、組織設計が重要。今の部署では1つの業務を何人かに経験させたり、年1回しかないような仕事は引き継ぎ書を作らせたりして、誰が休んでも仕事が回る仕組み作りをしている」

Aさん 「一時期ポンポンと育休取得者が続き、かなり苦労した。今は人員不足で、中途採用も厳しい。社内でまかなえればいいのだが、業務内容を覚えるのに数カ月はかかるので悩んでいるところ」
Bさん 「うちの会社では、かつかつで仕事を回している部署の男性社員が、育休の申請を自ら取り下げたケースがあった。リーダーが『困った』という感情を出してしまったのかもしれない。管理職自身も自分にしわ寄せが来るのでは、と不安を抱えている」

(注)日経ウーマノミクス・プロジェクトのアンケートをもとに作成
Cさん 「例えば、子育て中で時短勤務の人が早く帰ってしまった後、以前は一部の同僚が愚痴を言う、という場面が時折見受けられた。そういう場に居合わせた従業員は『負の雰囲気』を察するので、いざ自分が育休を、となったときに、取るのをやめたり短くしたりしてしまう。みんなで応援するムードを作ってあげたいが……」
Bさん 「育休なんて人ごと、と他のメンバーが感じているとそうなるよね。誰でも介護や病気で休むことはある。『互助』だよ、という話は伝えるようにしている」