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アマゾンジャパン経済学部門長から東京大学大学院経済学研究科の教授に転身した渡辺安虎さん。1998年に東大経済学部を卒業後、米ペンシルベニア大学で経済学博士号を取得、米国や香港の有名大で教えてきたバリバリの経済学者だ。こうしたバッグラウンドを生かし、アマゾンではデータを活用して意思決定に携わるなど、経済学をビジネスに応用して成果を上げてきた。異色の経済学者に、AI時代のスキルなどについて聞いた。

AIでタクシーの空車時間短縮、幅広い層から採用可能に

――生成AIが急速に普及しています。企画書を書いたり、論文を翻訳・要約したり、プログラミングもやってくれるので、もうそのようなスキルは不要との指摘もあります。AI時代のスキルについてどう考えますか。

私たちの実証研究では、AI活用により低スキルの人ほど生産性が上がるというデータが出ています。例えば、タクシードライバーの場合、AIを活用した需要予測アプリを使用すると、スキルレベルの低いドライバーほど空車時間が短くなりました。経験値がなくても、どこの通りに顧客がいそうかがうまく予測でき、空車時間が減るわけです。

生成AIを用いた今年発表された研究でも、AIはスキルレベルの高い人にはあまり影響はないが、低い人の生産性を高めるとの結果が出ています。人手不足が深刻化するなか、雇う側の企業のメリットはかなり大きくなりますね。AIにより働く人ごとのスキルの差が埋まるので、ベテランでなくても、もっと幅広い層から採用が可能となります。

では、働く側への影響はと考えると、先ほどのタクシードライバーの例で言えば、需要予測以外のスキルの重要性が高まるといえます。例えば、赤信号で左車線の一番前に止める運転技術や乗客とのコミュニケーションなど他の様々なスキルが生産性に影響を与えます。AIは需要予測のスキルからそれ以外のAIで代替されにくいスキルの重要性を高めるでしょう。

――確かにどんな仕事でも1つのスキルで完結できるわけではありません。AIで代替できるスキルもあれば、そうではないスキルもある。うまくAI活用すれば、キャリアの可能性は大きく変わりますね。

リスキリングという観点では、AIにより仕事に求められるスキル要件が下がることで、これまで自分には無理だとあきらめていた仕事に挑戦できるようになると思います。例えば、AIによりプログラミングやデータ分析といったタスクを行う障壁が下がることで、このようなスキルにリスキリングによって投資することがキャリア上の意味をもつようになりえます。これにより、個人のレベルでは、AIに代替されにくい形で培ってきたスキルとAIによりスキルの差が埋まるスキルをうまく組み合わせることで、キャリアを新しい方向で築くことが新たに可能になりえます。

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