金融・財務と会社法 専門外でも基本が頭に入る2冊
紀伊国屋書店大手町ビル店
ビジネス書・今週の平台基本的な考え方を流し込む
一方の「会社法」の著者、柴田氏は法政大学教授で、これまでに合併・分割や持ち株会社、企業統治といった政府系研究会の座長を歴任するなど、会社法の第一人者といえる人物。冒頭で「気軽に楽しく読んでいるうちに、読む人の頭の中に、苦労なく、会社法の基本的な考え方を流し込んでさしあげたい」と執筆の動機を語る。
全体は10章構成。「会社は誰のものか」から説き起こし、会社法の歴史や重要な判決、基本原則と書き進めたあと、株主総会、取締役、株式、組織再編、事業承継などを各論としてつづっていく。「株式会社は、会社法の世界と労働法の世界(あるいは経営学の世界)という2つの世界を持ち、機関としての『代表取締役』は、2つの世界を結び付けるいわば連結点の役割を果たしています」といった記述のように、会社法の世界観ともいうべき基本の考え方をわかりやすく伝える。
「『金融&ファイナンス』大全の方は入荷から2カ月以上たっても安定して売れていて、最近は売れ筋上位にくることも。会社法の方はまだ入荷したばかりだが、大手町では同じような売れ方が期待できる」と店長の加藤よしこさんは話す。ビジネスまわりの専門知をある程度自分なりに把握しておきたいという需要は大きいようだ。
『新しい世界の資源地図』、息長い売れ筋に
それでは、先週のランキングの見ておこう。
1位は、貯蓄から投資へのマインドシフトを説く一冊。著者は日銀審議委員も務める岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長の高田創氏だ。2位は、本来の自分を取り戻す方法を説いたライフコーチによる本。3位が今回紹介した「金融&ファイナンス」大全だ。貯金ゼロから7年でセミリタイアするお金の増やし方を説いた本が4位、米国を代表するエネルギー問題の専門家が世界最新のエネルギー地図を詳述した本が5位。ともに22年初めに刊行された本で、息の長い売れ筋になってきている。
(水柿武志)