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「退路を断って成功した」「一部上場企業の役員職を捨てて起業で成功した」といった書籍も見かけますが、成功した希少な例だから出版されているわけです。数え切れないほどの失敗もまたあることを忘れてはなりません。

生計がおぼつかない状況で本業を辞めて収入源を断つのは、お勧めできません。経済的不安が仕事に悪影響を及ぼし、仕事に集中できなくなるケースがあるからです。1~2年は本業と並行して副業を手掛け、安定して続けていけそうだったら乗り換える、といった計画ならば試してもよいかもしれません。

自由な時間が削られる

副業によって時間的な余裕がなくなるケースがあることも押さえておきましょう。学情の調査では「コロナ禍で給与が減ったので副業をしているが、本業だけで生活できるのが理想」「就業後や休みの日に副業の仕事をするので、数カ月間休みなしで働いている。生活できるのであれば、副業は辞めたい」などの意見が寄せられていました。

「副業はしなくてはならないもの」と考えている人は、一度冷静に考えてみることをお勧めします(写真はイメージ)=PIXTA

「副業はしなくてはならないもの」と考えている人は、一度冷静に考えてみることをお勧めします(写真はイメージ)=PIXTA

副業で取り組むのが単純作業の場合、業界の時間単価以上の収入を得ることは難しそうです。ましてや会社員をしながら、平日の夜や土日を使って副業をするには、それなりの理由や動機がないとできないでしょう。

10年以上前になりますが、筆者は一時期、毎日のように深夜にファミリーレストランでコーヒーを飲みながら仕事をしていました。そこで仲良くなった従業員に聞いてみると、「自分の趣味にお金を使いたいからアルバイトをしている」と話してくれる人がほとんどでした。「子供が寝た後に少しでも稼ぎたい」という人もいました。

このような生活のための副業であれば自由時間が減るのもやむを得ないのですが、そうでなければ耐えられない人もいるでしょう。「副業はしなくてはならないもの」と考えている人は、一度冷静に考えてみることをお勧めします。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。
[日経 xTECH 2022年2月10日付の記事を再構成]

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