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例えば自動車業界。新人が「クルマにあまり乗らない」どころか、「クルマに関心がない」「クルマを持っていない」というのも普通です。「運転免許を取得していない」という新人も珍しくなくなってきました。企業によっては、入社までに運転免許取得を求めているところもあります。

現在の40代以上が新卒の頃は、「クルマが好きだから自動車会社に入社する」のが一般的でした。この世代が管理職やトレーナーとして新人と接すると、クルマへの関心の薄さに驚くようです。

こうした新人に対して、以前と同じような指導をしてもうまくいかないのはある意味当然でしょう。指導のステップでいえば最初にある「興味関心を持ってもらい、学ぼう・実践しようという意欲を引き出す」ことから全力で取り組む必要があります。

B2B(企業間取引)企業であれば以前からこのステップを重視していたでしょうが、自動車メーカーは事情が異なりました。自動車メーカーの新入社員はクルマ好きが多く、興味関心は初めから持っていました。興味の対象が運転なのか、整備なのか、デザインなのかはともかく、クルマが好きというのは多くの新入社員に共通していたのです。

もちろん現在でもクルマが好きで入社する社員はいますが、そうでない人が新卒でも中途採用でも増えています。以前のように、一を聞いて十を知ってもらおうとしても無理があります。

クルマ好きの新入社員なら、仮にトレーナーの教え方が下手だったり教育に手を抜いたりしても一人で育ったかもしれません。しかし今はそれが通用しません。時間と手間をかけてしっかりと育成する必要があります。

自分を責める前に、新人に確認しよう

これは自動車業界だけの話ではありません。新人にやる気がない、物覚えが悪いといった状況が見られるようであれば、OJTトレーナーは自分を責める前に、本人が自社の事業や製品にどれくらい思い入れがあるか確認してみましょう。もしあまり関心がないことが分かれば、自社製品を理解し好きになってもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。

もちろん、関心がなくても仕事にはきちんと取り組む新入社員もいます。こうした人に対しても、多少手間がかかっても関心を持ってもらうための支援をしてみるとよいでしょう。もともと真面目に取り組める人が、自社の事業や製品に関心を持てば、さらに生き生きと能力を発揮できるようになるはずです。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。
[日経 xTECH 2022年3月17日付の記事を再構成]

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