勝ち癖、部下に植え付け 三洋「世界一」の経験生かす
ジャパンディスプレイ会長兼CEO 本間充氏

ジャパンディスプレイが生産する液晶パネルの製造工程の一部(千葉県茂原市)
ジャパンディスプレイ(JDI)が妥協なく収益を追い続ける「戦う集団」に脱皮しようとしている。時に厳しく叱り飛ばし、約6000人の部下に変化を促すのが2015年6月に会長兼最高経営責任者(CEO)に就任した本間充(68)。三洋電機で電池事業を世界一に導いた経験をもとに「勝ち癖を植え付ける」のが自身の使命と位置付ける。
「その余剰在庫は今後『○○(担当者名)在庫』と呼ぶ。君の責任で解消に努めてくれ」。東京・新橋の本社オフィスでの経営会議。中国でスマートフォン(スマホ)向け液晶パネルの在庫が積み上がったという報告を受け、本間は担当者にクギを刺した。
本間が就任後、真っ先に着手したのが「(経営責任が曖昧な)"親方日の丸"に頼った甘えたサラリーマン意識」の改革だった。環境変化を言い訳にした下方修正が繰り返され、社内でも「最後は誰かが何とかしてくれる」といった雰囲気がまん延していた。本間は「これでは顧客にも株主にも信用されない」と就任早々に意識改革に着手した。
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JDIは日立製作所と東芝、ソニーの液晶パネル事業を統合し12年4月に発足した混成部隊。出身母体から継ぐ自負心を持ち込む部下に、本間は「出身企業は関係ない」と説いた。会議などで日立出身者が日立の業務手順を持ち込むと「うちに日立の社員はいない」と退出を命じたことも。
一方でJDIの技術力を高く評価。本間の目には「JDIは一つ一つのオペレーションを改革しムダを省けば利益を生み出せる宝の山」に映ったという。