変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

口下手な人や上がり症の人は人前で話すというだけで、緊張の極致にいます。言葉を選び一生懸命に話をしているときに、「要は」が相手の口から出れば、「私の話は面白くないんだ」「くどいのだろうか?」と会話すること自体が怖くなり、コミュニュケーションに苦手意識が生まれてしまうでしょう。「要は」は、その場を仕切るようでどことなく上から目線。「偉そうに見える口ぐせワースト1」であって、「要は」を多用する人は敬遠されます。

「ぜひに」も要注意

「ぜひ」はもともと「是が非でも」という強い願望を意味する言葉です。私はそのことをすっかり忘れ、「ぜひ、お目にかかりたいのですが」「ぜひ、ご参加くださいね」「ぜひ、ご覧くださいませ」と、「ぜひ」「ぜひに」を、頻繁に口にしていた時期がありました。

私は正直な思いを伝えただけで、他意はありませんでしたが、ある時、先輩経営者から「臼井さん、その言い方はちょっと押し付けがましいよ」と指摘を受けました。「そういう時は一歩下がって、『ご都合がよろしければ』とか『お時間が許せば』などに言い換えたほうが上品かな」「そう言ったほうが、その気になってもらえると思う」

確かに、相手の立場になれば「ぜひ、いらしてください」「ぜひ、お会いしたいです」など、「ぜひ」「ぜひに」が頻繁に飛び出すと、うるさいから仕方なくというマイナスの思いに支配されます。

豊かな人間関係は「肯定」から始まる

ビジネスの場では「はい」「いいえ」は、はっきり示した方がよいと思います。曖昧な表現は誤解を生じさせます。

ただ、商談や直接数字にかかわる事であっても、人間関係を円滑にするためには「いいえ」と明確に言わないほうがよい場合も多いものです。

例えば、

「このあと、ご一緒に食事でもしませんか?」

「来週、○○があるのですが、ご都合が合えばいらっしゃいませんか?」

などと誘われて、「いいえ」とそっけなく応じては、ひどく無愛想です。会話がそこで終わってしまいますね。

断るにしても、「いいえ」を避け、

●「申し訳ありません、このあと商談がございまして」

●「すみません、その日は先約がございまして」

と応えた方が柔らかで穏やかな話し方になります。豊かな人間関係は「肯定」から始まるのは疑いようがありません。

 「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は8月17日の予定です。

[2015年3月11日公開の日経Bizアカデミーの記事を再構成]

臼井 由妃(うすい・ゆき)
1958年東京生まれ。健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役。理学博士、健康医科学博士、MBA、行政書士、宅地建物取引士、栄養士。33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ会社経営に携わる。次々にヒット商品を開発し、独自のビジネス手法により通販業界で成功をおさめる。日本テレビ「マネーの虎」に出演。経営者、講演者、経営コンサルタントとして活動する傍ら、難関資格を取得した勉強法も注目される。ビジネス作家としても活躍。著作は50冊を超える。

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