数時間後に常務、ユニクロのフリース人気仕掛ける
ファミリーマート社長 沢田貴司氏(11)

「ユニクロ」の知名度を飛躍的に高めた原宿出店(東京・渋谷)。フリースブームもこの出店が出発点だった。
1997年春にファーストリテイリングに入社し、11月の株主総会で取締役に選任されました。総会後の役員会で社長の柳井正さんから「常務にする」と言われたときにはビックリ。ヒラの取締役として何もしていないのに数時間後には常務ですから。そして翌年には副社長です。柳井さんは「営業関連のことはまかせる。何か問題があったら責任を持って解決してほしい。それくらいの気持ちで経営してほしい」と発破をかけてくれました。
しばらくしてその年の秋に初の都心型店舗となる原宿店の出店準備が動き出します。でもなかなか具体策が浮かびません。そんなとき、英国のアパレルブランド会社のPRを手掛けていた阿部あゆ子さんが入社してきたのです。
「こんな田舎の会社で働いて後悔しないの」と聞くと、「ユニクロはみんながいい商品を作ろうと努力しているけど、それがお客さんに伝わっていないのが残念です。ここのフリースはとってもいいです。田舎の両親にも送りましたよ」と言うのです。この時は何とも思わなかったのですが、翌朝に起きるときに「これだ!」とひらめきました。
居ても立ってもいられず、車に乗って会社に向かい、その足で柳井正社長の部屋に飛び込みました。「原宿開店はフリースに特化したキャンペーンでやらせて下さい」。柳井さんは「じゃあ、それでいこう」とゴーサイン。