ダイエー再生 熱意届かず
ファミリーマート社長 沢田貴司氏(14)

設立した再生ファンド、キアコンでダイエーの再建策を練る。
キアコン創業時の2003年は過剰債務企業だったダイエーがどうなるのか、経済界で大きな話題となっていました。そんな頃、国は産業と金融を一体的に再生させるため産業再生機構を設立したのです。再生ファンドを手掛ける僕らも何かできるかもしれないと興奮したのを覚えています。
04年10月に再生機構の下でダイエーの再生が始まり、支援企業選定の作業がスタートしました。ただ、名乗りを上げるにしてもダイエーの現場を知らないことには始まりません。
キアコン社員と一緒にダイエーを昼夜問わず調べました。でないと血の通った再生計画の提案書は作れないと考えたからです。
リストラは一時的には効果がありますが抜本的な対策ではありません。「会社が良くなっていく」という手応えを社員がつかめる提案書にすることにこだわりました。
ダイエー再生に向けて人脈を駆使した。

沢田氏率いるキアコンはダイエー再生の最終選考に残った(2005年1月の日本経済新聞朝刊1面)
交遊のあったユーミン(松任谷由実さん)、リンクアンドモチベーションの小笹芳央さんらにお願いしてダイエーの社員を元気にする提案書を作成しました。それが「愛のある再建計画」です。ユーミンの歌詞を刷り込んだ買い物袋の作成や社員を集めた音楽イベントの開催などがその内容です。
一次選考では100を超える企業が手を挙げましたが第2次選考後はキアコン、丸紅、イオンの3候補に絞られました。
ダイエーの人たちとも再生について熱く語りあい、「ダイエーを何とかしたい」と本気で思いましたよ。その一方でキアコンは再生ファンドなので投資家から預かったお金を増やして返す必要があります。