無駄にキレない話し方 アンガーマネジメントを知る

戸田久実さんは伝えたい内容を怒りで濁らせてしまわない話し方をコーチした
部下を叱るときを想定してください。目的は相手の成長を願って、意識や行動を改善してほしい、そして挽回への励ましだと思います。決してたたきのめすためではありません。メッセージが抽象的だと相手に伝わらず、こちらの思った行動をしてくれないことが多いです。「ちゃんと報告しろ」「しっかり段取りを組め」「もっとやる気出せ」などはNGです。
客観的事実を伝えることも大切です。例えば、「いつも約束を破る」と部下を叱る上司がいるとします。100%の事実でなかったら言うのは避けたほうがいい言葉です。相手は「『いつも』じゃない」と反発しかねませんし、「約束は守って」という本来のメッセージがぼやけてしまいます。言葉を発する前に、「今言おうとしていることは事実か?」と自身に問いかけてみることです。
そして、「私」を発信源にすることも意識しましょう。例えば「(あなたは)なんで~しなかったの?」と言われると、相手は自分の領域に踏み込まれた、責められたと感じるからです。「(私は)~してほしい」と伝えたほうが率直に伝わります。
さらには、ノンバーバル(非言語)コミュニケーションを一致させることです。言葉は同じでも、どのような態度や言い方で表現するかによって相手への伝わり方は違います。たとえば言いにくいことを、笑顔で言うと、相手に真意は伝わらず、戸惑わせることになりかねません。
共感して理解を深める 自分の感情を押しつけない
さて、怒りの感情に振り回されずに自分の意思を上手に伝えるには、相手とどのように向き合っているか、マインド面も振り返ることも重要です。
まず、ネガティブな思い込みにとらわれることはないですか? たとえば「どうせ言っても分かってもらえないに違いない」「こんなことを言ったら嫌われる」と思うことです。「伝わる」「分かってくれる」と自分も相手も信じてみることからスタートしましょう。