渋谷ヒカリエの生花店長 客の「欲しい」引き出す話術
日比谷花壇 鈴木香菜さん
突っ込んだ会話ができた顧客とのつながりはその場かぎりで終わらせない。会話の内容、購入した商品などをノートにまとめて記録する。
「夫と食卓で話すきっかけがほしい」と相談を持ち掛けられたのは夫婦げんかの気晴らしに買い物に来たという女性だった。「食卓を彩るだけでなく、成長が続くため、会話のきっかけをつくりやすい」と小さな観葉植物を勧めた。後日、再び来店した女性は「観葉植物をきっかけに夫婦の会話が増え、今では主人のほうが気に入っている」ともう一つ観葉植物を買って帰ったという。
接客を通じ、築いた顧客との結び付きは強い。福岡の店舗で意気投合した顧客とは今もメールや手紙をやり取りする。
「花が大好き。どうしたらもっと良い売り場になるのか考えるのが楽しい」と話す鈴木さん。スポーツ観戦をしていても気がつけば、スタンドを彩る観客の服の色合いをヒントに売り場づくりを考えているほどだ。
(長尾里穂)
[日経MJ2017年9月4日付]