オフィスに似合うお仕事メーク 清潔感や上品さを

ヘア・メイクアップアーティストの小田切ヒロさんがメークを実演
オフィス向けのメークに悩む、働く女性は多い。今回の丸の内キャリア塾は「キャリアアップのためのビューティーアップデート」がテーマ。ヘア・メイクアップアーティストの小田切ヒロさんと、美容ライターの橋本日登美さんがメークの実演をまじえて、「印象美人になる」ためのメークテクニックを紹介した。
素材を生かして印象美人 「攻め感」は出さないように
橋本 きょうはオフィスですてきに見える「効くオフィスメーク」を教えていただきます。小田切さんが考える極意は何でしょうか。
小田切 その人自身がきれいに見えるよう、素材を生かすことが一番重要です。清潔感がありながら、上品な「印象美人」になることです。
橋本 ポイントとなるパーツはどこですか。
小田切 一番重要なのは眉と肌です。働く女性は特に、生活習慣やストレスなどで肌のコンディションを常にベストに保つのは難しいです。今回はそんな場合でも、自然にきれいに見せるベースメークを紹介します。これは時間がたって、メイクが崩れてもきれいに見えるメークでもあります。
橋本 メークを落とす瞬間まできれいでいられるということですね。早速教えてください。
小田切 下地は2種類使います。まずはポアカバー(毛穴隠し)下地を小さめの真珠ぐらいの大きさを指にとって、小鼻の周りや目の下の三角ゾーンになじませます。その後、薄くパールが入った下地をゴーグルゾーン(小鼻横から眉の上あたり)に薬指で内側から外側にトントンとスタンプするように塗り、なじませます。この際、顔全体に塗らないこと。顔の上半分に光が集まることで顔だけが浮かず、立体感と品が出ます。
コンシーラーはオレンジ系がおすすめです。下まぶたのくまに乗せて、指でぼかします。目の際(きわ)は2ミリメートル空けるのがポイントです。
次に上まぶたにも中央から左右にトントンと置きます。こちらも際の2ミリミリメートルは塗りません。
橋本 目元の際まで塗らないのですね。
小田切 目元のくすみを少し残すことで目元に奥行きや立体感が生まれます。また、鎧(よろい)のようなかっちりメークだと「攻め感」が出るので、大人女子は少し引くくらいがちょうどよいですね。
特にまぶたの際は締め色のアイシャドウを使うので、コンシーラーを塗ると厚みが出て崩れやすくなります。
橋本 わかりました。次は、ファンデーションですね。
小田切 パウダリーファンデーションだと、朝の仕上げとお直しで同じものが使えて便利です。大きめのフェースブラシで、ほおの中心から外に向かって左右に動かします。おでこも中心から外に。ファンデーションは外から乗せると大顔に見えてしまいます。
そして何もつけないブラシでクルクル磨き、自然な立体感を出します。さらにパフを折った角で、ほおの高いゾーンと小鼻、鼻の下も軽く押さえます。パフを使うことによってカバー力がより高まります。口角も押さえてマットに仕上げると、「印象美人」になります。
まぶたと眉にもファンデーションを乗せます。眉毛の中に粉を入れるイメージで。皮脂を抑える効果があり、崩れにくくなります。
橋本 ファンデーションの色を選ぶポイントはどこでしょう。
小田切 肌色よりワントーン暗いものを選んでください。顔だけ浮かないようにするためです。
ベースメークは70%ぐらいで止めて、アイブロウ、アイメークで足すのが成功の秘訣です。

丸の内キャリア塾の会場には大勢の働く女性が集まり、オフィス向けのメーク術に聞き入った
目元を生き生きさせて 思いを伝えやすいメーク
橋本 ここからアイメークに入ります。
小田切 クリームタイプのゴールド系ベージュで、ちょっとオレンジがかったものを使います。
薬指でまぶたの中央に乗せ、アイホールにワイパーのようにやや広めに乗せます。まぶたの下は小指で、涙袋の際から5ミリメートルの部分にスッと乗せます。ここで、シャドウライナーをフラットタイプのブラシで際の空いた2ミリメートルのところに乗せます。目尻側から入れると、自然な印象に見えます。
アイライナーは2種類使います。ネイビーのアイライナーでインサイドラインを仕込むと、光の反射で目元がクリアに見えます。その後、黒のアイライナーでまつげの隙間を埋めていきます。テーブルにひじをつきながら、手首のスナップを使うと簡単に引けます。目元が生き生きして、プレゼンテーションや外回りなどで伝わりやすくなると思います。
橋本 ほとんど色は出ていませんが、目の力が強くなりました。
小田切 まつげはカーラーで軽く上げた後、マスカラでとかし上げるだけでいいです。下まつげにはつけません。
次に眉毛ですが、ペンシルタイプのブラウンを使い、黒目の端の上から耳の穴に目がけて眉山に落としていく。眉はエッジが効きすぎると攻めすぎた印象になるので、眉下だけエッジを効かせ、上はぼかしたままです。
眉マスカラで毛を逆立たせるように付けます。毛流れ、逆向きを繰り返して全てに色を付けます。さらに、まつげ用のカールコートのマスカラで、眉頭の5ミリメートルから1センチメートルの部分を立てて知的に見せます。
骨格が美しく際立つ 血色感と立体感が鍵
橋本 いよいよ仕上げに入ります。
小田切 オフィスで効かせるメークは骨格を美しく引き立たせるということがポイントです。チークは肌なじみがいい血色感のあるカラーを選んでください。耳の穴の横から?の高いところに向かって横向きに入れます。
ここでブロンズパウダーを使いフェースラインを引き締めます。大きめのブラシで、耳の下からあご先に向かって裏側にクルクルと回転させます。暗い色を使うと、時間がたってくすむほどきれいに見えます。またフェースラインが引き締まることによって、スーツなどお洋服とのバランスがよくなる効果もあります。
橋本 全身のバランスまでよく見えるのはうれしいですね。
小田切 リップクリームをつけた後、ペンシル型リップで唇の山から下に向かってストレートに線を描き、縁取ってから中を塗りつぶします。
橋本 塗りつぶすだけでいいのですね。
小田切 きちんと縁取りをかけて立体的に見せることにより、お話ししたときの口元が上品に見えます。もう少し品格をプラスしたい場合には、コンシーラーを綿棒に取って口角の際から1センチメートルほど少し内向きになぞると、口角がきゅっと上がった印象になります。
橋本 輪郭がくっきりしますし、明るい表情になりますね。
小田切 メークは高揚感がとても大切です。憂鬱な気持ちでメークをするとそれだけで憂鬱なメークになってしまいます。楽しんでメークをしていただくと、ハッピーな印象に仕上がりますので、みなさんもぜひ心がけてほしいと思います。
橋本 今日から実践できるテクニックをたくさん教えていただきました。本日はどうもありがとうございました。

ヘア・メイクアップアーティスト。LA DONNA所属。藤原美智子氏らのアシスタントを経て独立。「VOCE」「SPUR」などの雑誌、広告、女優・タレントのメークのほか、イベント、トークショーで活躍するヘア・メイクアップアーティスト。著書に「小田切流 小顔道」(講談社)。