会話のピンチ、しぐさで救う 前のめりや相づちが効く

会話をスムーズに進めるには、身ぶりや視線も役に立つ PIXTA
会話がうまく続かないと悩む人は少なくないようです。興味深い話題を用意したり、声の出し方を工夫したりするのも有益ですが、しぐさでカバーする方法もあります。今回はいくつかの具体的なテクニックをご紹介しましょう。
相手に気持ちよく話してもらううえでポイントになるのが、「聞く姿勢」。実際に耳を傾けることももちろん重要ですが、「きちんとあなたの話を聞いています」と、相手に伝わることが重要です。口を開かなくても、「その話、もっと聞かせてほしい」「教えてください」「その話の続きはどうなの?」と話しかけているかのような状態をつくる。そのムードをつくるうえで効果的なしぐさが「前のめり」です。
相手の話に夢中になると、誰しも自然と前のめりの姿勢になるものです。話が面白いと身を乗り出します。前のめりは「あなたの話に関心があります」という意思表示でもあるのです。個人的な共感や好意を抱いている場合も、前のめりの姿勢になりやすくなります。前のめりは実際に相手との距離を縮める行為なのです。
さらに相づちの基本ともいえる「はい」「ほう」「へえ~」を適度に取り入れましょう。一歩進めて、「そうですか」「知らなかった」「さすが」「すごい」「素晴らしい」などと、合いの手を入れれば、きちんと聞いているという姿勢がより伝わるだけでなく、会話にリズムが生まれます。うなずきやメモ取りの動作も効果的です。
すると相手はさらに乗り気になり、「ここだけの話」を語り出してくれることもあります。前のめりの姿勢を取り、相づちを合いの手のように入れながら、共感・同意のしぐさも交えて相手の話を聞く。これが大事なテクニックです。
姿勢のこわばりは口も重くする
あがり症や口下手の人は緊張した姿勢で話を続ける人が多いものです。その姿勢が悩みを増幅させているともいえるでしょう。だから、緊張してうまく話せないという人は普段から意識して体を動かしながら会話をしましょう。
緊張がピークに達して頭が真っ白、声が上ずった、言葉に詰まったという非常時には、何をおいても体を動かしましょう。体を動かすことによって、自然と緊張感が解けていきます。
本来はゆっくりと歩くのが効果的ですが、パーテイーでのスピーチ、会議での発言、プレゼンテーションでの説明など、歩くのが不自然なシチュエーションでは、ゆったり視線を配りながら首を動かしたり、背筋を伸ばしたりするだけでも、緊張感から解放されます。
そんな簡単なことで、緊張しなくなるのかと思う人は、正座をして話をするのと、ゆったりと体を動かしながら話をするのでは、どちらが自分らしい話し方ができるか試してみてください。体を動かしながら話をするほうが声が出やすく、頭もスムーズに回転するということに気づくはずです。
直立したままで話すよりも表情が豊かになり、声にメリハリもつきます。うまく話せなくても、伝わる話ができるようになります。体を動かせば、自然と言葉があふれ出す。緊張しやすい人はこの方法を頭に入れておいてくださいね。
目の表情で、気持ちを伝える
「目は口ほどにものを言う」「目は心の窓」という言葉があるように、目は情報伝達の道具でもあります。目を活用すれば、話さなくてもあなたの「存在感」を示したり、思いを伝えたりすることができる。これは上がり症や口下手の人にとって大きな武器になります。
私が実践している2つのテクニックを紹介します。まず最初は「目を見開く」です。会話をしている人に向けて大きく目を開きます。すると、「まあ?」「えっ?」「本当!」といった、興味津々の様子を伝えることができます。自分が話すときには、強調したいところで目を見開けば、「ここが重要です」というメッセージにもなります。
もう一つは顔は動かさず、目だけを上に向ける「上目遣いをする」です。面と向かって言いづらいことは誰しもあります。口下手な人ならばなおさら言葉に詰まってしまうでしょう。そんな場合に私は上目遣いを活用しています。
上目遣いをすると、「困り顔」や「疑心暗鬼の表情」になります。この表情を見て取った相手はかなりの確率でこちらの心中を察してくれます。ただ、マナー面では好ましくないともされる表情なので、使いすぎは禁物です。
目には言葉に勝るとも劣らない「伝達力」があります。いかにわかりやすく見せられるかがポイントになりますから、鏡の前で繰り返し練習するといいでしょう。
次回は、思わず「イエス」とうなずいてしまう誘い方を解説します。お楽しみに!
※「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は11月22日の予定です。
