サラリーマン川柳が教える「働き方改革」の深い闇
第22回 全体最適で解決を図る「システム思考」

なぜサラリーマン川柳で笑えるのか?
「改善を 提案すると 業務増え」「効率化 提案するたび 人が減る」「効率化 進めてきづく 俺が無駄」と笑えないものもあります。これらの句に共通しているものは何か、分かりますか。
たとえば、プレミアムフライデー。働き方改革の一環として、「個人が幸せや楽しさを感じられる体験や、そのための時間の創出を促す」(経済産業省ウェブサイト)ということでスタートしました。2017年の新語・流行語大賞のトップテンにランクインするほど、話題を呼びました。
ところが、導入する企業はほとんどなく、もはや死語と言っても過言ではありません。しわ寄せが他の曜日に出る、早く上がることで収入がダウンする、顧客や取引先のひんしゅくを買うなどなど。考えなければいけない点が多々あり、政府が考えているほど、簡単にはいかないのです。
他の句も同様です。いずれも働き方改革がはらむ「意図せぬ副作用」を揶揄(やゆ)したものばかり。だから、思わずニヤリとするわけです。
働き方改革を一面的に進めてしまうと、意図せぬ副作用で足をすくわれる恐れがあります。改革をしたために、かえって働き方が悪化することもありえます。それを分かっているのか、「制度より 働き方は 風土から」という鋭い句もありました。さすが、いいところをついてきますね。
複雑な問題は悪循環に陥っている
物事は複雑にからみあって、互いに影響し合う一つのシステムをなしています。
良かれと思ってやったことが、回り回って悪さをすることがあります。またそれが、別の問題の火種になることもあります。原因と結果の連鎖を丁寧にひもとかないと、真の問題解決に至りません。
身の回りで起こる出来事は、単純な因果関係で表せるものばかりではなく、原因と結果がからみあった循環構造をなしていることがよくあります。容易に解決できないのは、トレードオフがあったり、悪循環に陥ったりしているからです。