需要まだある ラーメン「日高屋」創業者の波乱の人生
ハイデイ日高会長 神田正氏(1)

ハイデイ日高の神田正会長
栄枯盛衰が激しい外食業界で、過去最高益を12期続けて更新中なのがハイデイ日高だ。店舗網は来春までに400店を数える見通しだが、創業者の神田正会長には今も、1号店を構えた頃のハングリー精神がみなぎる。波乱に富んだ半生に目を奪われがちだが、その裏には、もうかる事業モデルを追求する貪欲さと緻密さが隠されている。
※情報は日経産業新聞に掲載された2016年9月時点のものです
※情報は日経産業新聞に掲載された2016年9月時点のものです

日高屋の埼玉県内の店舗
7月まで20カ月連続で、既存店売上高が前年を上回りました。8月はリオ五輪や雨で少し失速気味ですが、それでも今上期は順調です。消費が厳しい、などとよく言いますが、当社にはあまり関係ありません。駅前立地でちょっと酒が飲めて食べられて、そういう需要は根強く、やり方次第ではまだまだ成長の余地があると見込んでいます。ラーメンで売り上げ日本一を目指していますから。足踏みはできません。
今までずっと、需要のあるところを狙って、成長してきました。それはすべてわかってやったことでもなくて、結果的にそうだったんだな、と後で気づくことも少なくありませんが。ラーメン屋の深夜営業なんてまさに、やってみて需要を実感しました。コンビニエンスストアがない時代であっても、繁華街ではたくさんの人が働いていました。需要はあるのに供給が足りないわけです。デフレだ、供給過剰だ、といっても、取りこぼしている需要はあるものです。そこを突けば、新しい業態や店作りは成功するはずです。
午後は店を回るなど、なるべく外に出るようにしています。本社で座っていてもね、いろんな人が訪ねてきますが、たいていはいい話です。それは気分はいいですけどね。現実を見失いそうで、怖いですね。だから店に出向くんです。一人でね。幹部が連れ立って、「視察」みたいになったら本音が聞けないから。