リバイバル消費、今や主役 盛り上がる「クイーン」熱

作業服販売大手のワークマンはカジュアルウエアの新業態がヒットした
英ロックバンド「クイーン」の伝説映画「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットが続いているそうね。漫画「あしたのジョー」関連の商品も売れているって聞いたわ。今なぜ「リバイバル消費」なのかな。
最近の消費動向や背景などについて竹原津由さん(53)と藤本雅美さん(47)が中村直文編集委員に聞いた。
――今のリバイバル消費は従来とどう違いますか。
昔のヒット商品の復刻版などを懐かしんで購入するリバイバル消費は市場をけん引するような「主役」ではありませんでした。これに対し、今のリバイバル消費は主役。しかも過去の商品を売るだけではなく、往年のヒット作を今風に作り直しています。
日本は今や成人人口の約8割が40代以上。人口も減少傾向で、新商品はなかなか売れません。若者も消費離れの傾向にあります。このため今どきのリバイバル消費の担い手は40~50代が中心です。
話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」は興行収入が100億円を超えました。2回見て感動して泣いたという年配客もいます。1960~70年代にかけて「週刊少年マガジン」に連載された漫画「あしたのジョー」のコンプリートDVDブックが18年に発売されましたが、10万部を突破しました。「学び」ではゆるい勉強本が売れています。好調なダイヤモンド社の小学4年生向け学習本「東大教授がおしえるやばい日本史」も購入層の4割が大人。特に50~60代が多いそうです。
――40代以上の消費意欲がなぜ今、旺盛なのですか。
所得が比較的安定しているほか、働き方改革などを背景に個人の余暇時間が増えているからではないでしょうか。例えば、今の50代は新しいファッションや車、雑誌などを楽しむ青春時代を過ごし、若い頃は「ポパイ・JJ世代」「新人類」「バブル世代」などと呼ばれていました。ただ、子供の頃は大量消費時代で流行のスピードが速い。しかも、20~30代の頃は仕事などに追われて忙しく、やりたいコトをじっくり楽しむことができませんでした。
学生時代の友達と音楽バンド活動やスポーツなどを再開したり、習い事を始めたりする動きも出てきています。"青春の忘れ物"をもう一度楽しもうとしているようにも見えます。経済的に余裕のある60代も含め、こうした購買層は消費市場を分析する上で、新たな「大人消費」として注目されています。