「人生ゲーム」まだ中盤 おもちゃ開発、いつも緊張
タカラトミーの富山幹太郎会長
――今年50周年の人生ゲームに例えるとタカラトミーはいまどこのマスにいますか。

「ベイブレード」の大会は海外でも開かれ人気を集めている(アジア大会の様子)
「はっはっは(笑)。僕はウチの会社はサグラダ・ファミリアだと言っています。未完成だけど完成したらすごい、そういう会社でありたい。完成したとたんに陳腐化が始まります。時代が変わって子どもたちの遊び方も技術も変わり、というのが続いていきますから。常に緊張していないと、おもちゃ屋は危ないと思います。調子がいい時こそ開発に力を入れて備えています」
――合併当時、旧タカラの業績は苦しかったですが、今は旧タカラの商品が売れています。感慨はありますか。
「リカちゃんやチョロQなどタカラが持っていた商品は魅力的で、もっと売り上げが伸ばせると見ていました。だからもう一回ブランドを大事にしていこう、復活させようとやってきました」
――ハロルド・メイさんが社長を退任したのは驚きでした。
「ご本人がやりつくしたみたいなところはあったと思います。メイさんが来る前にいろんな仕込みはあったんです。彼はその変化に弾みをつけてくれた。非常にすばらしい広報マンでした」
――物足りない部分はありましたか。
「まだおもちゃはそんなに分かっていないところはありましたけどね。でもヒットする要素が出てくると早めにつかんで対応する人でした」
――小島一洋社長に求めるものは。
「おもちゃ作りは中小企業の集まりみたいなところがあるんです。そのポートフォリオをどうマネジメントするか。小島さんはベンチャーキャピタルをやっていてグローバルも見られます」
――創業者で祖父の栄市郎氏は「おもちゃの怪物」と呼ばれていたそうですね。
「祖父の伝記があるんですけど、僕は読んでいません。読むと肩の荷が重くなっちゃう。そんな昔のことを背負わず僕は全部おろしちゃうから。工場閉鎖もしました。でも怪物と呼ばれるのはうれしいでしょうね。神様と呼ばれる人は業界にたくさんいますから」
海外戦略構築 若い世代に活
――今後どういう会社を目指しますか。
「僕がまずやらなければいけなかったのは、完全に崩れた国内のビジネスモデルの再構築でした。それに今までかかっちゃったなあ。100周年に向かってはグローバル企業としてがんばっていますねと言われたい」