変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

――欧州が熱心なようですが、日本はどうでしょう。

欧州議会はこの3月、使い捨てのプラスチック製ストロー、カトラリー、食器、綿棒などの使用を21年までに禁止するほか、ペットボトルの回収率を29年までに9割にするといった規制を承認しました。7月には各国に関連法の制定を求める欧州連合指令も発効しました。ただ、現状では年間2500万トンの廃プラスチックの30%以下しかリサイクルできていません。

欧州は温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」などでも主導権を発揮してきました。環境問題で先頭に立つことで政治的な力を高めようという意図があり、それを多くの人々が支持しているほか、環境産業の国際競争力向上も狙っています。

レジ袋については欧州の多くの国や中国、インドネシアなどでも製造禁止や有料化などの規制をしています。日本は20年4月から原則有料化する予定です。日本の規制は遅れていましたが、5月31日に策定した「プラスチック資源循環戦略」によって、30年までに使い捨てプラスチックの排出を累積で25%削減することを決めました。

――将来、プラスチックはどうなるのでしょうか。

優れた材料なので、なくすと様々な製品の製造が困難になり、コストも上がります。ただ、化石燃料依存を減らそうという動きは加速するので、リサイクルを前提とした製品づくりが進むでしょう。

日本ではペットボトル飲料などの商品ラインアップが増える傾向にあり、見直しの余地があるかもしれません。最終的には、消費者一人ひとりの意識の問題につながってくるのだと思います。

ちょっとウンチク 健康への影響は未解明

海洋プラスチックは魚介類の成長を妨げたり繁殖率を低下させたりするという報告があるが、人体への影響はよくわかっていない。マイクロプラスチックを小さな貝や魚が取り込み、それを大きな魚や動物が食べるという食物連鎖を通して、人間の体内に取り込まれているのはほぼ間違いない。

マイクロプラスチック自体は体内に入っても排せつされるが、問題はプラスチック表面に付着することが多い化学物質などだ。臓器に蓄積したり、血中に入ったりすれば、かつての公害病のように深刻な健康被害を引き起こす可能性もある。詳しい研究が急がれる。

(編集委員 安藤淳)

今回のニッキィ


阿部 美香さん 最近、介護職員初任者研修資格を取得、PCスキルアップ研修も頑張っている。東京五輪のボランティアでは制服の採寸を終えた。「いよいよ近づいてきたなという感じです」
大部 祐子さん 商社勤務。3年越しで勉強していた証券アナリスト試験に合格。企業分析に役立つと思ったのと頭の体操代わりにと努力を重ねてきた。「とてもうれしい。やってよかった」
[日本経済新聞夕刊 2019年8月19日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック