サブスクの仕組みは? 定額使い放題、解約に課題も

キリンビールはクラフトビールのサブスクリプション(定額課金)サービスを始めた
最近「サブスク」という言葉をよくみかけるわ。使い放題のサービスが多いけど、商品やジャンルも増えているようだし、以前からあるものといったい何が違うのかしら。身近な場で広がるサブスク型サービスの仕組みや注意点について、金子美紀さんと佐藤香織さんが石鍋仁美編集委員に聞いた。
――サブスクってなんですか。
「サブスクリプション」の略語で、本来は新聞や雑誌の「定期購読」を意味する英語ですね。インターネットが普及してからは「会員制で毎月決まった額が自動で引き落とされ、モノやサービスが使い放題の仕組み」がこう呼ばれるようになりました。ただし実際は月額プラスアルファの出費が必要になったり、使用量や回数に制限があったりする例も珍しくありません。
宣伝費を削減するとともに安定収入を確保したい企業側と、出費を節約しつつ、「モノをたくさん所有するより新鮮で多様なコト(体験)を求める」今の消費側者の利害が一致したと考えられます。
背景には若い世代を中心とするモノ離れや中古品への抵抗感の減少といった価値観の変化があります。デフレによる価格破壊でモノの輝きが薄れた面もあるでしょう。SNSへの写真投稿のため日替わりで服を変えたいとか、データと人工知能(AI)で好みに合うモノを次々に薦められるといったIT(情報技術)の普及と進化もサブスク型消費を後押ししています。
――どんな分野で広がっているのでしょうか。
ネット分野での代表的な成功例に、動画や音楽の配信があります。DVDやCDの販売・レンタルに比べ、扱いが手軽でメニューは豊富です。お試し視聴も簡単で保管の悩みから解放されました。企業と消費者、双方のメリットが知られるにつれ既存のモノやサービスで導入する企業が増えているわけです。
トヨタ自動車は高級車、デザイン家電のダイソンは掃除機やドライヤー、パナソニックは薄型テレビの定額利用を始めています。衣料品や高級バッグ、家具では複数のブランドから商品を選べるサブスクベンチャー企業も誕生しました。美容院やエステでは定額で何回も利用できるサービスがあり、高級フランス料理やカフェでの食べ放題、飲み放題も登場しています。