世界のしょうゆ、五輪で発信 食材生かす脇役の進化
キッコーマンの堀切功章社長

キッコーマンの堀切功章社長
キッコーマンが伝統的な調味料、しょうゆの可能性を広げようと挑んでいる。アレルギー物質を使わない「えんどうまめしょうゆ」や、粉末タイプなどユニークなしょうゆを次々商品化。海外でも新たな用途を開拓する。堀切功章社長は「食材を生かすバイプレーヤー(脇役)として進化を続け、グローバルスタンダードを目指す」と語る。狙うは世界の70億人と夢は壮大だ。
粉末状も投入 簡便化応える
――国内のしょうゆ市場は年1~2%減っています。
「(純粋な)しょうゆとして統計をとればその通りですが、しょうゆをベースとした調味料としてはそんなに減っていないんです。例えば、だししょうゆ。つゆもたれもある。簡便化志向に応えた商品は増えています。ただ、人口が減れば、しょうゆのような基礎調味料は量的には減る。基礎調味料の宿命です」
――しょうゆという商品の可能性についてどう考えていますか。
「しょうゆはすごい調味料で、微生物の力を借りて時間をかけてうま味や香りという複雑系の味を作り出します。だからいろんな料理に合わせられる。健康志向や簡便性などお客様が望む形でどう進化させていけるかが我々の課題です」
「大豆、小麦がアレルギーで食べられなくても、しょうゆは使いたいという方にアレルゲンのない原料を使ったしょうゆを作りました。なにもしょうゆは液状でなくてもいいだろうということで粉末だとか、泡状のものとか。それから無色透明なしょうゆがあればいいよねとか」
――無色透明なコーラはいまひとつヒットしませんでした。
「やっぱりね、食に対しては人間は保守的なんです。ピンク色のしょうゆがあったらなんか気持ち悪いねと。料理人なら飾りで使うという発想があるが、日常的にはなかなか難しい。でもあっても悪くはない」
――しょうゆでイノベーション的な商品を出すのは難しいですか。いわゆる大ヒットは?
「しょうゆという商品の特性からいうとなかなか難しい。しょうゆは主役にはなれません。あくまで食材をいかす調味料。バイプレーヤーとしての位置にあってどう進化するかです」