化石燃料、枯渇しないの? 採掘技術の進歩で「延命」

シェールオイルの本格生産は世界の石油事情を書き換えた(米テキサス州)
温暖化ガスを出す石油や石炭など化石燃料の使用が世界的になかなか減らないという話を聞くわ。地球上の埋蔵量は有限だったはずだけど、どうして枯渇しないのかしら。化石燃料はいつまで使えるのか、涌井久子さんと増田る美さんが安藤淳編集委員に聞いた。
――化石燃料は、あとどれだけもつのでしょうか。
1970年代のオイルショック当時、地球上の資源が枯渇してしまうのではという懸念が広がりました。ですが実際には、新たな資源の発見や採掘技術の進化で、使い続けているのに枯渇期限は延び続けています。
従来の技術では採掘できなかったシェールオイルなどが実用化され、枯渇時期はさらに遠のいています。石油は80年代以降「あと40年以上」で変わらず、天然ガスは50年以上、石炭は130年以上もつと言われています。
――日本の化石燃料使用が批判されます。なぜこだわるのでしょうか。
まず、日本はエネルギー資源がとても貧弱だというのが根本にあります。安くて豊富に手に入る石炭、そして石油の大きな恩恵を受けて経済を発展させてきたので、急な路線転換は難しいのです。
加えて、東日本大震災で起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故で国内の原発が事実上止まってしまいました。だからといって経済活動を止め、生活の質を落とすわけにはいきません。すぐに使える化石燃料への依存を高めざるを得なかったのです。
政府は太陽光発電などの再生可能エネルギーも増やす方針ですが、日本では発電コストが石炭、石油を大きく上回ります。砂漠に太陽光パネルを並べられるアフリカではキロワット時あたり1~2円のところがあり、ドイツも10円を下回ります。日本はようやく20円を切ったくらい。設備費や工事費がコストを押し上げている面もあります。
――化石燃料を使うとして、新技術で温暖化ガスをなくせませんか。
なくす方法は「出さない」と「出したモノを除去する」の2通りがあります。出さないためには、再生エネ利用を増やすのが早道でしょう。蓄電池や電気自動車の活用も有効です。特に電池技術は日本に蓄積があり、ノーベル賞を取った吉野彰氏をセンター長にした研究拠点を作るという計画もあります。
除去する技術では二酸化炭素(CO2)を回収し地中に貯留するCCSがあり、米国やオーストラリアで実用段階に入っています。CO2を資源として活用する手法と合わせてCCUSという呼び方もします。例えばセメントやコンクリート、機能性化学品の原料にします。
メタネーションという技術も有望視されます。CO2と水素からメタンガスを作り、都市ガスに使う。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が国際石油開発帝石、日立造船とプロジェクトを進め、新潟県長岡市に試験設備が完成しています。