コロナでもろさ 1400万人に膨張、東京の過密リスク
――新型コロナウイルスの感染拡大の影響はどうですか。
コロナ対策として始まった在宅勤務やオンライン授業などが今後も定着すれば、一極集中の状況が少し改善するかもしれません。家賃や物価が高い東京で暮らす必然性が低下するためです。コロナの感染者の多くは東京で見つかっており、過密都市のリスクが改めて顕在化しています。
これを契機に地方での定住を促すためにも、政府は次世代通信規格である5Gなどの情報インフラを地方でも整える必要があります。国はもちろん、地方の自治体や企業などが連携して、自らの魅力を高めることも欠かせません。

ちょっとウンチク
出発点は大規模再開発
近年、加速している東京一極集中の出発点を探ると、小泉内閣時代である2002年の2つの出来事に行き着く。ひとつは都市再生特別措置法の制定による規制緩和だ。これで大規模な再開発に弾みがつき、東京の姿が一変した。
もうひとつは工業等制限法の廃止だ。これは1959年にできた法律で、東京23区などで工場や大学の新増設を規制していた。この法律がなくなったことで、大学の23区への回帰が一気に進んだ。大学が増えれば当然、都内に流入する若者も増加する。ちなみに政府は現在、23区に立地する大学の定員増を原則として認めていない。(編集委員 谷隆徳)
今回のニッキィ
浅井 みら野さん 旅行ライター。NPO法人ランチトリップのオンラインイベントに登壇し、米バージニア州の食文化などを紹介した。地方からも遠隔参加してもらえ、「交流の輪が広がりました」。
福島 茉莉奈さん 広告業界勤務。食材や調味料がセットになった「ミールキット」を利用し始めた。野菜や肉が下ごしらえしてあるので、「初挑戦ながらおいしいバターチキンカレーができました」。
[日本経済新聞夕刊 2020年7月27日付]