ネットで中傷受けたら、どうする? 電話で被害相談
――これで問題は解決するのでしょうか。
それほど簡単ではありません。SNSなどの運営会社自身が、誹謗中傷を広げないための施策を強く打ち出すべきでしょう。大手が利用規約で誹謗中傷につながる投稿を明確に禁じて厳格に運営すれば、問題を解決する一つの手段になるはずです。
ネットを利用する際に、情報の真偽を見分けるリテラシー教育を強化することも重要です。学校では「ネットいじめ」も問題になっています。家庭や学校など、社会全体で安全なネット社会を育むことが今まで以上に求められています。

ちょっとウンチク
海外でも問題、手立てなく
インターネットを通じた中傷問題は各国に共通する問題だ。ネット先進国の韓国でも、芸能人らが悪質な書き込みに悩んで自ら命を絶つ事例が相次いでいる。
韓国では2007年に大手サイトの書き込みに実名登録を義務付ける制度を導入した。それでもネット上の中傷はやまず、裁判所が、表現の自由に照らして違憲としたことで廃止になった経緯がある。
欧州では人種差別など「ヘイトスピーチ」の書き込みを規制する動きも進む。しかしネットを通じて傷つけられる様々な個人を救う有効な手立ては、世界を見渡してもまだ確立されていないのが現状だ。(編集委員 田中暁人)
今回のニッキィ
佐藤 香織さん 会社でコロナによる業務再編があり、10年来の希望の部署に転属が決まった。必要な勉強に明け暮れる日々だが「考え方次第で、マイナスだけではないと再認識しています」
入江 幸子さん 在宅勤務主体の日々が続いていたが、7月からオフィス勤務を徐々に増やし、リアルの大事さを実感している。「早く正常な日々が戻って、在宅勤務はプラスαで利用したいです」
[日本経済新聞夕刊 2020年8月3日付]