震災10年、原発廃炉の今 難易度高く計画に遅れも

熊切さん「デブリ取り出しの見通しは」
廃炉工程のなかで、もっとも難しく危険な作業になります。技術的な検討は進んでおり、まず建屋の破壊が少ない2号機から、22年に取り出しに着手したい考えです。当初計画からすでに3年以上遅れています。デブリの全体像はまだよくわかっていません。遠隔装置などを駆使して、少しずつ除去していきます。
原子力規制委員会の事故分析検討チームが1月にまとめた中間報告案には、気になる調査結果がありました。2、3号機の原子炉格納容器の上にある蓋部分の高濃度汚染を確認したのです。放射線量は人が1時間もいれば死に至るほどの高さで、デブリ取り出しの妨げになりそうです。
ちょっとウンチク 「完了」の定義は曖昧
福島第1原発の廃炉が完了した時の姿(エンドステート)について、政府も東電も明確にしていない。だが、それによってデブリを完全に取り除くのか、一部残すのか、など廃炉の進め方や期間が違ってくる。土地利用計画や復興のあり方にも大きく影響する。
日本原子力学会廃炉検討委員会の分科会は20年夏に出した報告書で、エンドステートとして汚染されたものを早期に全て撤去する、安全に貯蔵し部分撤去にとどめる、など4つのシナリオを示した。宮野広委員長は「いろいろな関係者が一緒に考えていく材料にしてほしい」と、早めの議論を呼びかけている。(編集委員 安藤淳)
今回のニッキィ
長井 美有紀さん コロナの影響もあり子供が学校に通えない日が増え、自宅で仕事をする際には家事との両立に悩まされる。「夜中に仕事に集中していたら、朝方になってしまうこともあります」
熊切 京子さん 4年前に保護猫2匹を引き取り飼っている。最初は生まれたばかりだった猫も今やいたずら盛り。トイレやエサなど大変なことも多いが、「コロナ禍の中でとても癒やされています」。
[日本経済新聞夕刊 2021年2月22日付]